「長期間のスランプを脱出した愛ちゃんが、『卓球の練習の時、ラリーが100本連続で入るまで練習を止めないようにしたら、勝てるようになった』と言ったので、渡辺さんは、卓球マシーンを使って、30球連続で的に当てようとしたのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。愛ちゃんのようにチームメイトが相手だと、相手の動きに合わせて、打つタイミングを計ればいいのですが、卓球マシーンが相手の場合、ボールが飛び出したのを見て、フットワークを開始することになります。」

「フットワークを開始したらボールがすぐ近くまで来ていたという状態になるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。そのため、毎日3時間、3カ月練習したのですが、30球連続で的に当てることができなかったのです。」

「そんなに難しいのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。愛ちゃんがチームメートと練習しているのを動画で見たことがありますが、二人ともフットワークは使っていません。全く同じ位置に立って、ラリーをしています。」

「全日本のトップにいる選手は、相手が動かなくても打てるようなボールを、打ち続けることができるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「それでは、なぜ、フットワークを使う練習にしたのですか」と町会長。

「愛ちゃんは試合中に自在にフットワークを使いますが、僕は試合中にフットワークが使えなかったからです。」

「しかし、フットワークを使う練習にしたら、毎日3時間、3カ月練習しても、30球連続して的に当てることができなかったのですよね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「愛ちゃんのように、フットワーク無しで練習することは考えなかったのですか」と町会長。

「それでは、いつまでたっても、愛ちゃんに勝てるようにはなりません。」

「渡辺さんは、愛ちゃんに勝つのが目標なんですか」と町会長。

「そういうわけではないのですが、棒術系というのは、『高齢者だからこのくらいで』ということはないのです。」

「若かろうと、高齢であろうと、戦いに負ければ死ぬという淘汰圧を受けて来たからですか」と町会長。

「多分そうだと思います。父が退職して高尾山薬王院で働くようになったのは、誰もいない早朝に、毎日、高尾山のふもとから薬王院まで駆け上がるトレーニングができたためです。」

「なるほど。しかし、実際には、毎日3時間、3カ月練習しても、30球連続で的に当てることはできなかったのですよね」と町会長。

「そうなんですよ。それで、何が問題なのか考えたのです。」

「高齢なのが問題なのではありませんか」と町会長。

「それで若返りの研究をしているのですが、簡単には解決できないことが分かっているので、何か他に原因はないのかと考えたのです。」

「他にも原因があったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

2021/8/24

<それじゃあどうする31>
攻め合いの基礎の問題を30問ほど連続正解すると腎経が緩むようなのだ。単に気の流れが強くなるのではなく、肝虚で固まって骨のようになっている筋肉が表面に近いところから柔らかくなるようなのだ。経絡治療の基本である腎経が緩むので、囲碁の基本は攻め合いにあるのだと思った。6月の初めの頃のことだった。

その日から半月ほど、時間があると攻め合いの基礎の問題をやった。その頃は現在と違って、攻め合いの問題をやる余裕があったのだ。

腎経上の筋肉が緩んで気の流れが強くなれば、骨が緩む。頭蓋骨が緩めば、脳の可動性も上がり、アホポン化した頭も改善するかも知れない。

頭蓋骨が緩めば、耳の可動性が上がり、連動して海馬の可動性も上がり、その結果、記憶力も上がるかも知れない。筆者の夢は膨らんだ。<続く>

2024/8/7